火災保険の対象になるのは「自然災害による損傷」
住宅の火災保険には、火災だけでなく風災・雹災・雪災の補償が含まれているものが一般的です。つまり、次のような損傷は対象になる可能性があります。
| 区分 | 具体例 |
|---|---|
| 風災 | 台風や強風で棟板金が飛んだ、スレートがずれた、雨樋が外れた、飛来物が外壁に当たって割れた、カーポートの屋根が破損した |
| 雹災 | 雹が当たって外壁やスレートが欠けた、雨樋やベランダの屋根に穴が開いた |
| 雪災 | 積雪の重みで雨樋が変形した、カーポートが潰れた |
ポイントは、「劣化した」ではなく「壊れた」であることです。自然災害という原因があって、その結果として損傷が発生した、という因果関係が必要になります。
対象にならないもの
- 経年劣化。チョーキング、色あせ、シーリングの痩せ、コケや藻の発生。これらは時間の経過による自然な劣化であり、災害ではありません
- 施工不良。前回の工事に起因する不具合は、火災保険ではなく施工業者との話になります
- 塗り替えそのもの。損傷した部分の修繕は対象になり得ますが、「ついでに全体を塗り替える」費用は対象外です
- 免責金額に満たない被害。契約によっては、一定額以下の損害が補償されない設定になっています
境界が難しいケース
棟板金の浮きは、風で飛ばされかけた結果なのか、下地の貫板が腐って釘が効かなくなった結果なのか、現場を見ないと判断できないことがあります。前者は風災、後者は経年劣化です。最終的にどちらと認定するかは、保険会社の判断になります。
申請の期限は3年
保険法第95条により、保険給付を請求する権利は3年で時効によって消滅すると定められています。つまり被害が出てから3年以内に請求する必要があります。
ただし期限内であっても、時間が経つほど因果関係の立証は難しくなります。「3年前の台風の被害です」と主張しても、その間に別の風が吹いている以上、どの災害によるものか示すのは容易ではありません。台風や雹のあと、気になる箇所があれば、その時点で写真を撮っておくことをおすすめします。
撮っておくべき写真
被害の全景(どの部位か分かるように)、近景(損傷の状態が分かるように)、可能であれば建物全体。日付が記録される設定で撮っておくと、あとで時期を示す材料になります。スマホで構いません。
申請の流れ
- 保険会社または代理店に連絡する。契約者ご本人が行います。証券番号を手元に用意してください
- 必要書類を確認する。保険金請求書、事故内容報告書、修理見積書、被害状況の写真が一般的です
- 修理見積書と被害写真を用意する。ここは施工業者が対応する部分です
- 提出する。契約者ご本人が保険会社へ提出します
- 鑑定人の調査。被害額が大きい場合、保険会社が鑑定人を派遣して現地を確認します
- 認定と支払い。認定額が確定し、支払われます
当社が対応するのは3番です。被害状況の写真撮影と、修繕内容・数量・単価を記載した見積書の作成までを行います。申請そのものの代行は行いません。保険の請求は契約者ご本人の権利であり、義務です。
「保険で無料になります」と言われたら
この業界で最も相談が多いトラブルです
火災保険の申請をめぐるトラブルは、国民生活センターにも相談が寄せられています。訪問してきた業者が「保険を使えば自己負担ゼロで直せる」と持ちかけ、契約後に高額な手数料を請求される、というのが典型的な流れです。
次のような言葉が出たら、その場で契約しないでください。
- 「火災保険を使えば自己負担ゼロで工事できます」
- 「必ず保険金が下ります」「実績多数なので確実です」
- 「経年劣化でも災害ということにすれば通ります」
- 「申請はこちらで代行します。手数料は保険金の◯%です」
- 「今日契約していただければ調査に入れます」
認定するのは保険会社です。業者が「必ず下りる」と断言できる根拠はありません。また、経年劣化を災害による損傷として申請することは、保険金の不正請求にあたる可能性があります。業者に勧められたとしても、責任を負うのは契約者ご本人です。
当社の立場
- 被害状況の写真撮影と、修繕内容を記載した見積書の作成に対応します
- 保険申請の代行は行いません。手数料もいただきません
- 「必ず下ります」とは申し上げません。認定するのは保険会社です
- 保険の認定を前提に契約をお願いすることはありません
- 現地で確認した結果、災害によるものではなく経年劣化だと判断した場合は、そのようにお伝えします
よくある質問
外壁塗装そのものに火災保険は使えますか?
塗り替えを目的とした外壁塗装は対象外です。火災保険が対象とするのは、台風・強風・雹・雪といった自然災害による「損傷」であり、その損傷を直すために必要な範囲の工事が対象になります。劣化したから塗り替えたい、という理由では認定されません。
申請に期限はありますか?
保険法第95条により、保険給付を請求する権利は3年で時効によって消滅すると定められています。被害が出てから3年以内が目安です。ただし時間が経つほど、その被害が当該災害によるものだと示すのが難しくなります。
自己負担はゼロになりますか?
なりません。多くの契約には免責金額が設定されており、認定額が工事費用に満たないこともあります。「自己負担ゼロ」「必ず下りる」と断言する業者には注意してください。
保険が下りなかった場合、工事はどうなりますか?
当社は保険の認定を前提に契約をお願いすることはありません。認定されなかった場合に工事をするかどうかは、お客様がご判断ください。見積書は保険の結果にかかわらず有効です。
申請の代行はしてもらえますか?
保険の申請はご契約者ご本人が行うものです。当社が代行することはありません。当社が対応するのは、被害状況の写真撮影と、修繕内容・数量・単価を記載した見積書の作成までです。