なぜ目視では特定できないのか
水は、入った場所からそのまま真下に落ちるわけではありません。野地板、垂木、断熱材、胴縁といった部材を伝って横に移動します。室内でシミが出ている位置と、外から水が入っている位置は、数メートル離れていることがあります。
さらに、入口が一箇所とは限りません。築年数が経った建物では、屋根・シーリング・サッシまわりが同時期に劣化していることがあります。
散水調査の手順
- 室内側に人を配置する。漏れてきた瞬間を確認するためです。一人では見落とします。
- 下から順にかける。最初に上からかけると、どの高さから入ったか分からなくなります。低い位置から順に上がります。
- 一箇所ずつ、範囲を区切る。一度に広い範囲へかけると切り分けになりません。サッシの下端だけ、次に横枠だけ、というように分けます。
- 時間をかける。1箇所5〜15分。実際の雨は数時間降り続くため、短時間では再現できないことがあります。
- 反応がなければ次の箇所へ。反応があった時点で、その範囲をさらに細かく切り分けます。
この進め方のため、半日から一日かかることがあります。「ちょっと水をかけてみましょう」で終わる作業ではありません。
調査する順序の考え方
| 室内の症状 | 先に疑う箇所 |
|---|---|
| 2階の天井のシミ | 屋根の谷板金、棟、天窓まわり、外壁との取り合い |
| 1階の天井(上がベランダ) | 防水層、笠木の継ぎ目、手すりの取り付けビス、排水口 |
| サッシまわりの濡れ | サッシ上部の防水処理、四隅のシーリング、外壁のひび割れ |
| 外壁に面した壁 | 目地のシーリング、配管や換気口の貫通部、笠木やパラペット |
散水調査で分からないこともあります
正直に申し上げておきます
散水調査は万能ではありません。風を伴う雨でしか再現しない雨漏り、一定量以上の降雨でないと出ない雨漏り、複数の経路が重なって出ている雨漏りは、散水では特定しきれないことがあります。その場合は、可能性の高い順に対処して様子を見る、という進め方になります。
当社は「必ず止まります」とは申し上げません。特定できた範囲と、残る可能性のある経路を分けてご説明したうえで、どこまで工事するかをご判断いただきます。
調査の前に、やっておくと早くなること
雨が降っているときに、どこがどう濡れるかを写真に撮っておいてください。いつから出ているか、どんな雨のときに出るか(強い雨のときだけか、風を伴うときだけか)。過去に補修した箇所があれば、いつ誰が何をしたか。これだけで疑う箇所がかなり絞れます。
よくある質問
散水調査に費用はかかりますか?
現地調査と原因の切り分けまでは無料です。散水調査は時間と手間がかかるため、実施する場合は事前に費用をご説明したうえでご判断いただきます。
散水で建物が傷みませんか?
既に雨が入っている経路に水をかけるため、新たな損傷を与えるものではありません。ただし室内側に養生を行い、漏れた場合に被害が広がらないようにします。
雨の日に見てもらうことはできますか?
できます。実際に濡れている状態を見られると特定が早くなります。ただし屋根の上は滑るため、雨天時に屋根へ上がることはしません。