折板屋根の構造
波形に成形した鋼板を、タイトフレームという受け材にボルトで留め付けた屋根です。大きなスパンを支えられるため、工場・倉庫・体育館で広く使われています。
傷む箇所の順序
1. ボルトキャップ
屋根を貫通するボルトの頭に被せる樹脂製のキャップです。紫外線で劣化し、割れて脱落します。
キャップが外れると、ボルトの頭とその周囲が直接雨にさらされます。ここから錆が始まり、ボルト穴から水が入ります。
2. 端部(ケラバ・軒先)
切断面が露出している箇所です。めっき層が途切れているため、錆の起点になります。
3. 重ね部分
折板どうしの重なりや、長手方向の継ぎ目。シーリングが劣化すると、毛細管現象で水が上がってくることがあります。
4. 水上(みずかみ)側の納まり
屋根の高い側が壁にぶつかる部分。雨押えの立ち上がりが不足していると、吹き込んだ雨が越えます。
雨漏りが与える影響
工場では設備と在庫への影響が大きい
住宅の雨漏りは建物の問題ですが、工場・倉庫では中身への影響が問題になります。
- 製品・在庫が濡れる
- 電気設備、制御盤への漏電リスク
- 床が濡れることによる転倒災害
- 結露と併発してカビ・錆が発生する
建物の補修費より、操業への影響のほうが大きくなることがあります。
改修の選択肢
| 工法 | 内容 | 向く状況 |
|---|---|---|
| 塗装 | ケレンして錆止め・上塗り | 錆が表面にとどまっている |
| ボルトキャップ交換 | 劣化したキャップを新しくする | 塗装と同時に実施 |
| 部分補修 | 穴あき部分にパッチを当てる | 限定的な損傷 |
| カバー工法 | 既存の上に新しい折板を重ねる | 広範囲の劣化。操業を止めにくい |
| 葺き替え | 既存を撤去して新設 | 下地まで傷んでいる |
カバー工法は、操業を続けながら施工しやすいのが利点です。既存屋根を撤去しないため、室内への影響が小さくなります。
稼働中の施設での進め方
- 工程を分割する。片側ずつ、または区画ごとに進める
- 休業日に合わせる。音や臭いが出る工程を休日に寄せる
- 養生の範囲を決める。設備や在庫への飛散を防ぐ
- 天候リスクを織り込む。既存屋根を開ける工程がある場合、雨天時の措置を決めておく
- 安全通路を確保する。従業員の動線と工事の動線を分ける
石綿の確認
古い工場・倉庫では、屋根材や外壁材に石綿含有製品(大波スレートなど)が使われていることがあります。
改修工事の前の事前調査は、築年数にかかわらず必要です。2006年9月より前の建物では、書面に加えて現地での確認が必要になります。高圧洗浄やケレンも対象になる場合があります。
遮熱塗料の効果
折板屋根は直射日光を受け、室内温度を大きく上げます。断熱材が入っていない建物では特に顕著です。
遮熱塗料は日射反射率を高めて表面温度を下げます。金属屋根では効果が体感しやすい部類に入りますが、断熱材の代わりにはなりません。
まずは現況の写真から
屋根全体の写真と、錆やボルトキャップの状態が分かる近景があれば、確認すべき箇所を整理してお返しします。図面があれば一緒にお送りください。工事が必要かどうかの判断から承ります。
よくある質問
操業を止めずに工事できますか?
工程を分割する、休業日に合わせるなどの方法で対応します。工事内容によっては一部の区画を一時的に使えなくする必要があります。
面積が広いと単価は下がりますか?
下がる傾向があります。段取りや運搬の固定費が広い面積で割られるためです。
雨漏りしている箇所だけ直せますか?
可能ですが、折板屋根の雨漏りは複数箇所から入っていることが多く、一箇所だけ直しても止まらないことがあります。まず全体を確認します。