なぜ階段が危険なのか
過去に、アパートの外部階段が腐食して崩落し、死傷事故が発生した事例があります。
外部階段は、人が荷重をかける構造物です。外壁の錆は見た目の問題ですが、階段の錆は人命に関わります。
錆が進む箇所
踏板の裏側
上からは見えません。雨水が回り込み、乾きにくいため、表より先に腐食が進みます。
踏板とササラ桁の接合部
溶接部や、異なる部材が重なる隙間。水が溜まり、毛細管現象で吸い上げられます。
側桁と建物の取り合い
階段を建物に固定している部分。ここが腐食すると、階段全体の支持が失われます。
モルタルが充填された踏板
最も危険なパターン
鉄板の上にモルタルを充填した踏板は、内部の鉄板が錆びても外から見えません。モルタルにひび割れが入り、そこから水が入って内部で腐食が進行します。
表面がしっかりして見えても、中が空洞化していることがあります。踏み抜き事故の多くがこのタイプです。
点検の方法
- 踏板の裏を見る。下から見上げて錆の範囲を確認
- 叩く。金属音か、鈍い音か。空洞の音がしないか
- 歩いてみる。たわみ、異音、振動がないか
- 手すりを揺する。根元の固定が効いているか
- 錆汁を探す。茶色い筋が垂れていれば、内部で錆びている
- モルタルのひび。踏板のモルタルに割れがないか
年1回は確認してください。特に築20年を超えた鉄骨階段は要注意です。
塗装で対応できる範囲
対応できる
表面的な錆、塗膜の劣化。3種ケレンで浮いた錆と旧塗膜を落とし、錆止めを塗ってから上塗りします。
ポイントは踏板の裏まで塗ることです。見える面だけ塗っても、裏から腐食が進みます。
対応できない
- 断面が明らかに減っている
- 穴が開いている
- 叩くと沈む、たわむ
- モルタル充填部の内部が空洞化している
これらは部材交換、または階段全体の更新になります。
改修の選択肢
| 工法 | 内容 | 費用感 |
|---|---|---|
| 塗装(ケレン+錆止め+上塗り) | 表面的な錆への対応 | 低 |
| 部材の部分交換 | 傷んだ踏板やササラを交換 | 中 |
| 踏板への防滑シート施工 | 滑り止めと保護を兼ねる | 中 |
| 階段全体の交換 | 既存を撤去して新設 | 高 |
賃貸物件では、工事中に階段が使えない期間の扱いを決めておく必要があります。片側ずつ施工する、仮設階段を設けるなどの対応があります。
手すりと防滑
階段の安全は、構造だけの問題ではありません。
- 手すりの固定が緩んでいないか
- 踏面が濡れたときに滑らないか
- 段鼻(段の先端)が摩耗していないか
- 照明は足元まで届いているか
オーナー様へ
外部階段の腐食は、発見が遅れると交換費用が大きくなります。そして万一事故が起きれば、管理責任が問われます。年1回の点検と、早めの塗装が最も安価な対策です。点検だけのご依頼も承ります。
よくある質問
点検だけ頼めますか?
承ります。現況を確認し、いま必要なもの、数年以内に必要になるものを分けてご報告します。
工事中は階段を使えませんか?
工法によります。片側ずつ施工する、乾燥時間を夜間に取るなどで、使用できない時間を短くできます。
モルタル充填の踏板は必ず危険ですか?
すべてが危険ではありません。ただし内部の状態が外から見えないため、叩いた音や、たわみ、錆汁の有無で判断します。