二つの工法
カバー工法(重ね葺き)
既存の屋根材を残したまま、その上に防水シートを敷き、新しい屋根材(多くはガルバリウム鋼板)を重ねる工法です。
葺き替え
既存の屋根材をすべて撤去し、必要に応じて野地板も張り替えてから、新しい屋根材を葺く工法です。
| カバー工法 | 葺き替え | |
|---|---|---|
| 費用の目安(税抜) | 60〜100万円 | 80〜150万円 |
| 撤去・処分費 | 不要 | 必要 |
| 工期 | 短い | 長い |
| 野地板の確認 | できない(一部を除く) | できる |
| 建物への荷重 | 増える | 変わらない〜減る |
| 石綿含有屋根材 | 撤去しないため飛散リスクが低い | 撤去時の措置が必要 |
カバー工法が選べない条件
次の場合は葺き替えになります
- 野地板が腐っている。上に重ねても、下地が保たないため留め付けが効きません
- 雨漏りが既に出ている。原因を特定せずに覆うと、内部で腐食が進みます
- 既に一度カバー工法を行っている。三層になると荷重と納まりの問題が出ます
- 屋根材が瓦。形状的に上に重ねられません
荷重の考え方
カバー工法は既存の屋根材を残すため、建物にかかる重さが増えます。ただし新しく載せるガルバリウム鋼板は軽量で、スレート1層分を加えても、日本瓦の屋根より軽い場合がほとんどです。
とはいえ、建物の構造に不安がある場合や、耐震性を優先する場合は、葺き替えで軽量化するという判断もあります。
石綿含有屋根材の場合
2006年9月より前に建てられた住宅のスレート屋根には、石綿が含まれている可能性があります。
葺き替えでは既存材を撤去・破砕するため、法令に従った措置と処分が必要になり、費用が上がります。一方カバー工法は撤去しないため、石綿含有屋根材ではカバー工法が選ばれることがあります。
ただしこの判断も、野地板の状態が健全であることが前提です。
判断の順序
- 屋根に上がって、屋根材と棟板金の状態を確認する
- 可能であれば小屋裏から野地板の裏側を見る(雨染み・腐食)
- 雨漏りの有無と、その履歴を確認する
- 築年数から石綿含有の可能性を判断する
- 以上を踏まえて、塗装・カバー・葺き替えのどれが妥当か判断する
塗装で足りるなら塗装をおすすめします
カバー工法や葺き替えは金額が大きくなります。まだ塗装で持つ状態であれば、そうお伝えします。逆に、塗装しても数年でまた劣化する状態であれば、塗装を受けずにカバー工法や葺き替えをおすすめします。どちらが妥当かは、屋根に上がって確認してからの判断です。
よくある質問
カバー工法の寿命はどのくらいですか?
ガルバリウム鋼板の場合、一般に20〜30年とされています。ただし下地の状態と施工の質に左右されます。
カバー工法をすると小屋裏が暑くなりますか?
屋根が二重になるため断熱性はやや上がります。ただし換気が確保されていないと湿気がこもるため、通気の確保が重要です。
築何年でカバー工法を考えますか?
年数ではなく状態で判断します。スレートの割れが多数ある、塗装を繰り返している、棟板金の下地が腐っている。こうした状態が重なったときです。