棟板金と貫板の構造
屋根の頂上や隅の稜線には、屋根材の合わせ目を覆う金属のカバーが付いています。これが棟板金です。
棟板金は、下に貫板(ぬきいた)という木材を固定し、その貫板に釘またはビスで留めてあります。つまり板金は木に留まっているだけです。
浮きが起きる順序
- 釘が緩む。金属は温度で伸縮します。夏と冬を繰り返すうちに、釘が少しずつ押し出されます
- 釘穴から水が入る。浮いた釘の周囲に隙間ができます
- 貫板が湿る。木材が水を含み、乾かないまま次の雨を受けます
- 貫板が腐る。腐った木は釘を保持できません
- 板金が浮く。風を受ける面積が増え、さらに緩みます
- 飛散する。台風時に一気に抜けます
飛散したときの責任
飛んだ棟板金が近隣の車や建物を傷つけた場合、所有者の管理責任が問われる可能性があります。「浮いているのを知っていたか」が論点になることもあります。台風のあとに屋根から音がする、という段階で確認しておく価値があります。
地上からの確認方法
- 屋根の稜線(棟のライン)が波打っていないか
- 板金の端部が持ち上がっていないか
- 板金の継ぎ目に隙間が見えないか
- 強風の日にバタつく音がしないか
望遠で撮った写真でも、棟のラインが直線かどうかは確認できます。スマホでも十分です。
樹脂製貫板という選択肢
従来の貫板は杉などの木材です。近年は樹脂製(ポリカーボネートや樹脂木)の貫板が使われるようになっています。
| 木製貫板 | 樹脂製貫板 | |
|---|---|---|
| 腐食 | 水を含むと腐る | 腐らない |
| 釘の保持 | 腐ると効かなくなる | 長期的に保持できる |
| 費用 | 安い | やや高い |
| 留め具 | 釘が使われることが多い | ビス留めが一般的 |
屋根塗装のタイミングで貫板を交換する場合、樹脂製にしておくと次回の周期まで持たせやすくなります。足場がある機会でないと交換できない部位なので、塗装と同時に判断する価値があります。
釘とビスの違い
従来は釘で留められていましたが、抜けにくさではビスのほうが優れています。交換時にビス留めに変える、という対応もあります。
ただし貫板が木製で既に傷んでいる場合、ビスを打っても保持力は戻りません。貫板ごと交換するかどうかが先の判断です。
見積書での確認点
「棟板金交換」とだけ書かれている場合、貫板も交換するのか、板金だけ替えるのかが分かりません。貫板の材質(木製か樹脂製か)と、数量(m)を確認してください。
よくある質問
棟板金だけ交換できますか?
できます。足場が必要になるため、屋根塗装や外壁塗装と同時に行うほうが総額は下がります。
浮いているだけなら釘を打ち直せば直りますか?
貫板が健全なら有効です。腐っている場合は打ち直しても効きません。叩いた音や、釘の抜け具合で判断します。
何年くらいで交換時期ですか?
一般に15〜20年が目安とされていますが、立地の風当たりで大きく変わります。丘陵部や高台では早まる傾向があります。