歩掛りとは
一定の作業量を仕上げるのに、どれだけの人数と時間がかかるかを表した数値です。
たとえば「外壁塗装 100㎡あたり 2人工」であれば、100㎡を塗るのに職人2人が1日かかる、という意味になります。
1人工=職人1人の1日分の労務です。
単価の組み立て
㎡単価 = 材料費 + 労務費 + 経費
- 材料費。塗料、副資材(養生材、ローラー、刷毛など)
- 労務費。歩掛り × 労務単価
- 経費。運搬、廃材処分、法定福利費、現場管理費など
外壁塗装の㎡単価が1,600〜2,100円(シリコン・3回塗り・税抜)という相場は、この積み上げの結果です。
歩掛りが変わる条件
| 条件 | 手間への影響 |
|---|---|
| 面積が小さい | 段取りの割合が増え、㎡あたりの手間は増える |
| 形状が複雑 | 凹凸、出隅入隅が多いと手間が増える |
| 開口部が多い | 養生と刷毛での切り返しが増える |
| 高所 | 足場上での作業性が落ちる |
| 下地が悪い | 補修とケレンに時間がかかる |
| 色が濃い・下地との色差が大きい | 隠蔽に回数が必要になることがある |
同じ「外壁塗装」でも、条件によって必要な手間は変わります。一律の㎡単価で全部の建物を見積もれるわけではないのは、このためです。
公共工事との違い
公共工事では、発注者側が積算基準に基づいて予定価格を算出します。歩掛りも、公表された基準に従います。
民間の住宅工事では、各社が自社の実績から歩掛りを持っています。そのため同じ工事でも単価に差が出ます。
「一式」が意味するもの
一式は、数量を出していないということ
「外壁塗装工事 一式 650,000円」という見積りは、面積も歩掛りも示していません。積算していないか、していても見せていないかのどちらかです。総額が妥当かどうかを判断する材料がありません。
法定福利費
職人の社会保険料の事業主負担分です。公共工事では見積書に明示することが求められています。
民間工事では記載されないことが多いのですが、費用としては必ず発生しています。極端に安い見積りでは、ここが計上されていない可能性があります。
施主の方が使える見方
- 総額 ÷ 外壁面積 で㎡単価を逆算する
- 相場(1,600〜2,100円/㎡・税抜)と比べる
- 大きく下回る場合、材料か手間のどちらかが削られている
- 大きく上回る場合、条件による割増の理由を聞く
安い理由・高い理由は説明できるはずです
条件によって単価が動くのは当然です。問題は、その理由を説明できるかどうかです。「うちは安いです」「うちは高品質です」だけでは根拠になりません。面積、工程、材料、手間。どこがどう違うのかを聞いてください。
よくある質問
歩掛りは公開されていますか?
公共工事向けの積算基準は公表されています。民間工事では各社が自社の数値を持っており、公開されているものではありません。
1人工はいくらですか?
地域と職種によって幅があります。塗装職人の労務単価は公共工事設計労務単価として公表されており、参考になります。
小さい面積だと割高になりますか?
㎡あたりで見ると割高になります。段取り、運搬、養生といった固定的な手間が、面積で割られるためです。